むし歯のメカニズム

いわゆる「むし歯菌」によって、歯の形が損なわれていくのがむし歯という病気です。人間の口の中には数百種類、数十億匹もの細菌がすみ着いていますが、むし歯の原因菌とされているのはそのごく一部であると考えられています。

少し前までは歯科医の間では特定の細菌がむし歯の原因だとみられていましたが、現在は複数の細菌がチームとなって感染を引き起こす「多菌種複合感染症」という考え方が主流のようです。これらの細菌は、あらゆる人の口の中にも生息しているありふれたものです。ですが、世の中にはむし歯になる人と、ならない人がいます。なぜなら、むし歯になるには、四つの条件が関係しているからです。

その四つとは、歯があること、細菌が歯に付着していること、常に口の中に糖類があること、細菌が増殖する時間があることです。これらのすべてが揃ってしまった時に、むし歯になるといわれています。

「再石灰化」という言葉がありますが、これと反対の意味である「脱灰」という現象は、人間の口の中で常に繰り返されています。食べ物、特に糖類(砂糖や穀物など)をむし歯菌は好み、細菌はこれらを食べて酸を出します。その酸によって、歯の表面にある硬いエナメル質が溶けてしまうのです。むし歯になる前の歯が少し溶けた状態を脱灰といいます。しかし脱灰してもその部分が再石灰化するため、すぐにむし歯になるわけではありません。食後の歯みがきや唾液で、口の中の酸が薄まれば脱灰はストップして、唾液に含まれるリン酸とカルシウムが脱灰した部分を埋めていきます。